退去前になると、
「これって直しておいた方がいいですか?」
という相談をよく受けます。
クロスの傷、床のへこみ、ビス穴、汚れ、
見れば見るほど気になるところは出てきます。
でも、結論から言うと、
退去立会い前に全部を直せばいい、という話ではありません。
むしろ、先に直しすぎることで、
かえって話がややこしくなることもあります。
大事なのは、
「どこを直すか」より先に、
誰がどう判断するのかを整理することです。
退去時の原状回復は、
貸主、借主、管理会社、オーナー、
場合によっては次の入居募集の都合まで絡みます。
つまり、
こちらが良かれと思って直したとしても、
相手の判断とズレていれば、
その修繕がそのまま評価されるとは限りません。
たとえば、
クロスを一面だけ張り替えたとしても、
管理側の判断では「どうせ全面でやる」となることもあります。
逆に、
こちらは大きな傷だと思っていても、
立会いではそこまで問題にされないこともあります。
このあたりは、
現場を見ている側と、
退去精算を判断する側とで、
感覚がズレることがよくあります。
なので、退去前にまず大事なのは、
契約内容と管理側の基準を確認することです。
どこまでが借主負担なのか。
経年劣化として見られるのか。
故意・過失として扱われるのか。
その整理をしないまま工事を進めると、
無駄な出費になることがあります。
退去立会い・原状回復の事前相談はこちら →
もう一つ大事なのは、
見た目で焦って全部触らないことです。
退去前は、どうしても不安になります。
長く住んでいた部屋ほど、
細かい傷や汚れが一気に目に入る。
でも、その全部を先回りして直す必要があるかというと、
実際はそうでもありません。
先にやるべきなのは、
現状を把握して、
どこが本当に問題になりそうかを見極めることです。
そのうえで、
・自分で対応できる軽微な補修
・業者を入れた方がいいもの
・まだ触らず、立会い後に判断した方がいいもの
を分けて考える方が、結果的に無駄が少なくなります。
特に、床や建具、下地まで絡むものは、
見た目以上に判断が分かれることがあります。
表面だけ直しても意味がないケースもあれば、
逆に大きく見えても補修で十分なケースもある。
ここは写真だけでは判断しにくく、
実際に見てみないと分からないことも多いです。
退去前に不安になる気持ちはよく分かります。
でも、焦って全部やるより、
どこまでが必要で、どこからがやりすぎか
を一度整理した方が、話はかなりスムーズになります。
退去立会い前は、
「早く直さなきゃ」ではなく、
「どこを、どの順番で考えるか」が大事です。
見積もりを取るにしても、
立会いの前か後かで変わることがあります。
原状回復は、
工事の話である前に、
整理と判断の話でもあります。
もし退去前で迷っているなら、
まずは全部を工事前提に考えず、
今の状態を見て、
本当に必要な対応を一つずつ見極めるのがいいと思います。