先日、一枚の板を、失敗作としてInstagramに出しました。
モールテックスと組み合わせたダイニングテーブル。
仕上がった後、木が反りました。
正直、売り物にするのは難しい状態です。
かと言って、これを破棄するのも違う。
中途半端に売ってクレームが来るくらいなら、目に留まった人に、もらってもらいたい。
そう思って、投稿しました。
「このテーブル、タダで差し上げます。」と。
(画像)失敗作として出した投稿が、思いがけず大きく広がった。
正直、5人くらい連絡が来てくれればいいかな、くらいの気持ちで出しました。
それが、気づけば12万人の方の目に届いていました。
コメントは600を超え、一つひとつ、本当にありがたく読ませていただきました。
職人仲間からの粋な言葉、思わず笑ってしまう一言、真剣に木と向き合ってくれる方の声。
正直、戸惑いもありました。
たかが一人の職人の、失敗の投稿に、これだけの人が関心を寄せてくださるとは思わなかった。
コメントの中には、反った板を「成長木だから仕方ない」と言ってくださる方、
「世のテーブルの8割はただの板だ」と、職人として肯定してくださる方、
歪んだ床と反った天板で、「世界にここだけの水平が完成する」と書いてくださる方もいました。
正直、どの言葉も、一つ残らず刺さりました。
途中、職人である師匠が「自分もこのお祭りに参加したい」と言ってくださって、副賞として板を2枚、提供してくれました。
コメント欄の温かさに動かされた、と。
正直、師匠が動くとは思ってなかったので、これには結構びっくりしました。
結局、特賞1名、副賞2名、カエデのコーヒーテーブル3名。
合計6名の方に、木が届くことになりました。
先ほど、全員にDMを送り終えたところです。
9日間のお祭り、ようやく締められたなと。
今回、一つだけ、自分の中で確信したことがあります。
晒して良い失敗は、晒した方が信用になる。
そして、売らない判断が、結果的に一番の導線になる。
バズの途中、「売ってください」という声もたくさんいただきました。
「オーダーで作ってほしい」という方もいました。
ありがたかったです。
でも、あの熱量の中で売り込んだ瞬間、きっと空気は変わっていたと思います。
売らずに、全員のコメントに返信をして、最終的に届ける物語に変える。
この判断は、たぶん間違っていなかった。
それと、もう一つ。
Instagramを始めて、だいたい半年。
正直に言うと、最初の頃は、誰にも届かない投稿を、一人で出し続けていた時期がありました。
届く人は5人でいい、と思いながら。
それでも、続けていた。
(画像)Instagramを続けてきた半年が、ここでつながった気がした。
そんな半年の積み重ねが、ある日、こういう形で返ってくることがある。
「信じて続ける」ことの意味を、今回、皆さんから教えてもらった気がします。
正直、ここまで来れるとは思ってなかった。
皆さんのおかげです。
反った一枚板は、600を超える言葉と、12万の視線を背負って、近いうちに、特賞の方のところへ旅立ちます。
僕が車で、届けに行きます。
距離がどれだけあっても、この子だけは、自分の手で届けたい。
そう思っています。
届けたら、また、ここに書きます。
原 弘樹 / ichi crafters