ichi days

職人の日々と、ちょっとした話。

前に書いた、失敗からお祭りが始まった話。
あのあと、思っていた以上にいろんなことが続きました。

まず、作成した板をお届け終わって、
郵送で送った方もいれば、直接お渡しできた方もいました。

その中で、本当に喜んでいただけた声をたくさんもらいました。

正直、それだけでも十分嬉しかったです。

こういう仕事や事業を始めて良かったなと、
素直に思える瞬間でした。

さらに、その影響もあったのか、
インスタがバズったあと1週間ほどで、在庫の板も4枚くらい動きました。

直接お渡しできた方もいれば、
メールでやり取りをさせてもらった方もいました。

小さな板の作品

全員ではないですが、
その中でも本当に温かい言葉をいくつもいただきました。

普段、自分がやっている内装やリフォームの仕事では、
こういうふうに直接お客さんの声をもらえる機会は、正直そこまで多くありません。

もちろん、喜んでもらえている仕事もあると思います。
でも、目の前で言葉として返ってくることは、そんなに多くない。

だからこそ、今回のことはすごく大きかったです。

物を作って、それを受け取ってもらって、
そのうえで喜びの言葉をもらえる。
その流れを、こんなに続けて感じられたのは初めてに近いかもしれません。

失敗から始まったことではあったけれど、
そのあとにちゃんと残るものがあった。

それは、売れた枚数だけじゃなくて、
もらった言葉だったり、
この先も続けていきたいと思えた気持ちだったり、
そういうものです。

モチベーション、という言葉で片付けると少し軽いかもしれませんが、
それでもやっぱり、すごく力をもらいました。

こういう経験を、これから先につなげていきたいと思っています。

原 弘樹 / ichi crafters

先日、一枚の板を、失敗作としてInstagramに出しました。

モールテックスと組み合わせたダイニングテーブル。
仕上がった後、木が反りました。
正直、売り物にするのは難しい状態です。

かと言って、これを破棄するのも違う。
中途半端に売ってクレームが来るくらいなら、目に留まった人に、もらってもらいたい。
そう思って、投稿しました。
「このテーブル、タダで差し上げます。」と。

失敗作として出したInstagram投稿

(画像)失敗作として出した投稿が、思いがけず大きく広がった。

正直、5人くらい連絡が来てくれればいいかな、くらいの気持ちで出しました。

それが、気づけば12万人の方の目に届いていました。

コメントは600を超え、一つひとつ、本当にありがたく読ませていただきました。
職人仲間からの粋な言葉、思わず笑ってしまう一言、真剣に木と向き合ってくれる方の声。

正直、戸惑いもありました。
たかが一人の職人の、失敗の投稿に、これだけの人が関心を寄せてくださるとは思わなかった。

コメントの中には、反った板を「成長木だから仕方ない」と言ってくださる方、
「世のテーブルの8割はただの板だ」と、職人として肯定してくださる方、
歪んだ床と反った天板で、「世界にここだけの水平が完成する」と書いてくださる方もいました。

正直、どの言葉も、一つ残らず刺さりました。

途中、職人である師匠が「自分もこのお祭りに参加したい」と言ってくださって、副賞として板を2枚、提供してくれました。
コメント欄の温かさに動かされた、と。
正直、師匠が動くとは思ってなかったので、これには結構びっくりしました。

結局、特賞1名、副賞2名、カエデのコーヒーテーブル3名。
合計6名の方に、木が届くことになりました。
先ほど、全員にDMを送り終えたところです。
9日間のお祭り、ようやく締められたなと。

今回、一つだけ、自分の中で確信したことがあります。

晒して良い失敗は、晒した方が信用になる。

そして、売らない判断が、結果的に一番の導線になる。

バズの途中、「売ってください」という声もたくさんいただきました。
「オーダーで作ってほしい」という方もいました。
ありがたかったです。
でも、あの熱量の中で売り込んだ瞬間、きっと空気は変わっていたと思います。

売らずに、全員のコメントに返信をして、最終的に届ける物語に変える。
この判断は、たぶん間違っていなかった。

それと、もう一つ。

Instagramを始めて、だいたい半年。
正直に言うと、最初の頃は、誰にも届かない投稿を、一人で出し続けていた時期がありました。
届く人は5人でいい、と思いながら。
それでも、続けていた。

Instagramを続けてきた半年を振り返る投稿

(画像)Instagramを続けてきた半年が、ここでつながった気がした。

そんな半年の積み重ねが、ある日、こういう形で返ってくることがある。
「信じて続ける」ことの意味を、今回、皆さんから教えてもらった気がします。

正直、ここまで来れるとは思ってなかった。
皆さんのおかげです。

反った一枚板は、600を超える言葉と、12万の視線を背負って、近いうちに、特賞の方のところへ旅立ちます。
僕が車で、届けに行きます。
距離がどれだけあっても、この子だけは、自分の手で届けたい。
そう思っています。

届けたら、また、ここに書きます。

原 弘樹 / ichi crafters

今日、材料や資材の値上げの連絡が来ました。

私の仕事に関わる内装材や木材関係も、 だいたい20%から30%ほど上がるという話です。

正直、かなり危機感を持っています。

最近、XやThreadsなんかを見ていても、 塗装屋さんをはじめ、いろんな職人さんたちが困っている様子が伝わってきます。

もちろん、私の周りも同じです。

これだけ上がってくると、 まず新築の住宅工事はかなり止まるんじゃないかと思っています。

新築を建てたいと思っていた方にとって、 もう簡単に決断できる金額ではなくなってきている。

それに加えて、 給料が大きく上がっているわけでもない。 私自身もそうですが、 生活の余裕が増えている感覚は正直ありません。

そうなると、 新築だけじゃなく、リフォームや改修に舵を切ることも簡単ではなくなってくると思います。

建築の仕事が止まれば、 その影響は建築業界の中だけでは済まないはずです。

材料を運ぶ人、作る人、売る人、 その先に関わるいろんな仕事が少しずつ停滞していく。

そういう流れになっていくんじゃないかと感じています。

今の段階では、 先行きが見えているとはとても言えません。

建築に限らず、 他の業種でも動きづらくなっていく人が増えるんじゃないかと思います。

特にこの時期は、 4月頭の税金の支払いもあって、 ただでさえ頭を抱える業者さんも多いはずです。

そこにこの資材高と、 発注が減るかもしれないという不安が重なる。

かなり苦しい状況になることは、ある程度予想できます。

耐えるしかないと言えば、それまでかもしれません。

でも、ただ待つだけではなく、 今の状況の中で何ができるのか、 自分にできることは何なのかを考えながら動いていくしかないとも思っています。

正直、明るい話ではありません。

それでも、 同じように不安を感じている人は多いはずです。

一人の職人として、 今はかなり大きな分岐点にいるような気がしています。

原 弘樹 / ichi crafters

ホームページをご覧いただきありがとうございます。
ichi craftersの原です。

最近あらためて感じているのは、私たちの仕事は「一枚板の会社」「内装工事の会社」と、ひと言では言い切れないということです。

実際には、一枚板テーブルの制作販売だけでなく、店舗工事、住宅リフォーム、モールテックス施工、造作家具、水まわり、部分工事まで、空間づくりに関わる仕事を幅広く行っています。

私たちが届けているのは、商品単体や工事単体ではなく、空間全体の心地よさや使いやすさです。

たとえば、

・一枚板を空間の主役として取り入れたい
・木とモールテックスを組み合わせたい
・店舗や住宅を雰囲気ごと整えたい
・家具と工事をまとめて相談したい
・まだ内容は固まっていないけど、一度相談したい

こういったご相談に対応しています。

モールテックス仕上げの洗面空間

(写真)木だけでなく、モールテックスや水まわりまで含めて、空間全体で考える仕事をしています。

一枚板は私たちの大きな強みのひとつです。
ただ、それだけを届けたいわけではありません。

板をどう使うか。
どんな空間に置くのか。
周囲の素材や仕上げをどう整えるか。
そこまで考えて、初めて本当に良い空間になると思っています。

そのため、
「板はまだ未定」
「モールテックスが合うか分からない」
「部分的な工事だけでも頼めるのか知りたい」
そんな段階でも大丈夫です。

写真だけでも構いません。
ざっくりした相談でも大丈夫です。

ichi craftersは、一枚板も強いけれど、実態は空間づくり全般を相談できる会社です。

何を頼める会社なのか少し分かりにくかったかもしれませんが、もし
「これも相談していいのかな」
という内容があれば、まずは気軽に ご連絡ください

内容を整理しながら、一緒に形にしていけたらと思います。

原 弘樹 / ichi crafters

気づけば、ここ最近は仕事のことしかしていませんでした。

現場に出て、考えて、動いて、また次の日が来る。
そんな日が続く中で、少しだけいつもと違う日がありました。
仕事のLP用に、プロのカメラマンに初めて撮影してもらった日です。

印象に残ったのは、撮影そのものより、その人の話でした。

ただ空間を撮るのではなく、
そこを作った人が何を大事にしていたのか、
何を表現しようとしていたのかを汲み取って、一枚の写真にする。
影の入り方や光の当て方も含めて、そうやって考えているそうです。

光と影が入る室内と薪ストーブ

(写真)光の入り方ひとつで、いつもの空間の見え方が少し変わる。

その話を聞いていて、
工事とまったく同じではないけれど、少し似ているなと思いました。

僕らの仕事も、
お客さんが何を求めていて、
その場所でどう暮らしていきたいのかを考えながら形にしていきます。

もう一つ面白かったのは、
写真には撮る人の癖や感覚が出る、という話でした。

それはたぶん、職人の仕事も同じです。
納まりの見方や、素材の使い方、仕上がりに対する感覚。
そういうところに、その人らしさが出るんだと思います。

普段は手を動かす側ですが、
この日は少しだけ、自分の仕事を違う視点で見られた気がしました。

ガムシャラにやっていると立ち止まることを忘れがちですが、
たまにはこういう時間も悪くないなと思った日でした。

原 弘樹 / ichi crafters

出張の帰り道。
少し時間があったので、山に寄ることにしました。

いつも一緒に登っている大工さんと。

この人と山に登っていると、毎回似たような場面に出会います。

景色より先に、鳥居や社に目が向く。
登るたびに、そんな感じです。

今回も、私が気づくより先に、その大工さんが足を止めました。

見てみると、鳥居自体が傾いているわけではありません。

ただ、
貫(まぶた)を留めている楔(くさび)が抜けている状態でした。

しかも一箇所ではなく、二つとも。

正直なところ、私は言われるまでまったく気づいていませんでした。
そういう細かい部分に、自然と目がいく人です。

納まりや構造、木の使われ方。
職業柄なんだと思います。

しばらく何も言わずに見てから、ぽつっと一言。

「これ、直してあげたいね」

ああ、この人らしいな、と思いました。

この大工さんは、私にとって
メンターでもあり、友人でもあり、ずっと尊敬している大先輩です。

特別に信仰心が強いわけでもなく、宗教の話をする人でもありません。

ただ、山に登って、
みんなが目指して手を合わせてきた場所。

そういう場所が、そのままになっているのが、どうしても気になるんだと思います。

私自身も、宗教というよりは、
自然の中に神様がいる、という感覚の方がしっくりきます。

八百万の神、という言葉のイメージに近いのかもしれません。

というわけで、
鳥居の管理をされていそうなところへ問い合わせをして、
今はその返事を待っているところです。

どうなるかは分かりません。
何も進まないかもしれない。

それでも、
あのまま何もせずに通り過ぎなくてよかったな、とは思っています。

原 弘樹 / ichi crafters

年が明けました。
気づけば、年越しをまたいでホームページと格闘してました。

正直に言うと、
何度このチャットに八つ当たりしたことか……笑
(ごめんなさい)

最近よく聞く「AI」。
主流になってきてるのかどうかは分かりませんが、
新しいものが割と好きな性格なので、
実は結構早い時期から触ってはいました。

ただ、最初は
「で、これ何に使うん?」
が全然分からなかった。

自分の仕事にどう役立つのか考えてみたものの、
さっぱり思い浮かばず、
そっとブラウザを閉じた記憶があります。笑

それが、
ある時ふと思いついて
「逆に、何ができるの?」
って聞いてみたら。

出るわ出るわ、アイデアが。笑

その瞬間、
「あ、これ個人の自分には最強のツールかもしれん」
って思いました。

一人で考えてると詰まるところを、
ポンポン投げ返してくれる。
壁打ち相手としては、かなり優秀です。

同時に、
「これ、いろんな仕事が置き換えられるやろな…」
とも思いました。

でも幸いなことに、
職人という仕事をしている自分は、
たぶん上手く距離感を保てそうです。笑

手を動かすことや、
現場で判断することまで、
全部は任せられない。

でも、
考える時間を助けてもらうには、
ちょうどいい。

年明けからは、
「次はAIで何しよう?」
「何ができるんやろ?」
そんなことばかり考えてます。笑

たぶん、
使いこなせてるわけでもないし、
正解もまだ分かってません。

でも、
しばらくは一緒に試行錯誤していくんやろな、
と思ってます。

(写真)八つ当たりしてごめん笑 → いえ、通常運転です。

原 弘樹 / ichi crafters

この年の瀬に、私はいったい何をしているんだろうか・・・

今年最後の現場を終え、時間があるときにHPの改良を行おうと思いカタカタと。
だいぶいい感じに進んできて、「よし、反映しよう」とロードする際に—— 余計なことをしてしまい、サイトが見れなくなる始末。

もうこんな時間だぜ・・・涙。
年明けまで治らないかも。
実に私らしい一年の終わりだぜ ( ´∀` )

直しては壊す。
正に私は工事会社だ!涙

(写真)年末深夜3:28。Patagoniaの壁紙だけが静かに励ましてくれた。

原 弘樹 / ichi crafters

最初から、今みたいなことをやろうと思っていたわけではありません。

振り返ると、ずっと現場にいて、その時その時で目の前の仕事をやってきただけ、という感じです。

職人としてのスタートは、内装の仕事でした。
壁や床をつくって、納まりを考えて、現場ごとに違う条件の中でどう仕上げるかを判断する。正解が一つじゃないところが、自分には合っていました。

特別に教えてもらったというより、見て、真似して、失敗して、やり直す。きれいな覚え方ではなかったと思います。

独立したのも、準備万端というより、「このままやるしかないな」と腹を括ったタイミングでした。
楽なことばかりではなくて、判断を間違えたこともあるし、人との関係で悩んだこともあります。

それでも、現場に立って、手を動かして考える仕事自体を嫌になったことはありませんでした。

内装の仕事を続ける中で、少しずつ素材そのものに目が向くようになりました。木だったり、モールテックスだったり。
仕上げ材として使うだけじゃなく、「これ自体を主役にできないか」と考えるようになった。特別なきっかけがあったわけではなくて、現場を重ねる中で自然とそうなった気がします。

一枚板に出会ったのも、その延長です。最初から商品として見ていたわけではなく、暮らしの中で使われて、時間が経って、少しずつ表情が変わっていく様子に惹かれました。
効率がいいとは言えないし、扱いにくい部分もある。でも、空間の中に一つあるだけで全体の空気が変わる。内装屋として、その存在感は無視できませんでした。

ichi crafters という名前も、「ブランドを作ろう」と思って付けたものではありません。
内装屋として現場に立ちながら、板や素材と向き合っていく中で、既製品でも下請け仕事でもない、自分なりの形が必要だと感じるようになった。その流れの中で、自然とたどり着いた名前です。

家具屋でもなく、内装屋でもなく、そのどちらでもあるような、どちらでもないような。
まだはっきり言葉にできない部分も多いですが、今はその曖昧さごと続けていこうと思っています。

これは完成した話ではありません。
だから episode 0

原 弘樹 / ichi crafters

ichi crafters のホームページを見てくれてありがとうございます。
ふだんは内装や家具づくりなど、現場で手を動かす仕事をしています。気づけば、やることはいろいろです。

そんな自分がホームページを作ることになるとは、少し前まで思っていませんでした。実際に始めてみると、慣れないことばかりですが、構成を考えたり、見え方を整えたりする感覚は、どこか現場と似ています。段取りして、触って、直して、また進める。今もその途中です。

このサイトは自作です。完璧ではないけれど、自分の手で少しずつ形になっていくのが単純に楽しい。特別なことはしていなくて、「やってみよう」と思って動いただけ。人は、その気になれば案外なんでもできる——そう思っています。

また気が向いたら、このブログで少しずつ書いていきます。現場のことや、日々思うことをゆるく。時間があるときに、また覗いてみてください。

原 弘樹 / ichi crafters